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校舎裏の見事な土下座

Penulis: 天岸あおい
last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-16 19:03:31

◇◇◇

「太智殿、迷惑をかけて本当に申し訳ない!」

誰もいない校舎裏まで俺たちを連れて来ると、アシュナムさんは勢いよく土下座した。

立った状態から土下座ポーズになるまで、一秒もかからなかった。

なのに土下座の形を取るまでの動きがすごい丁寧で、芸術性すら感じてしまうほどだ。

何度も練習しないと身に着かないきれいさ。

こっちの世界へ来る前に風習とか歴史とか調べて、必要になると思って練習したんだろう。

ケイロに対して怒った姿ばかり見てきて、怖い人というイメージが強かった。けれど、真面目で責任感が強い人なのだと分かって、前よりも親しみを覚えることができた。

「いえ、むしろ勝手に動いてすみません。あのままだとケイロが学校に居づらくなりそうな気がしたので……」

「ここしばらく相手の動きがなくて、我々が焦ってしまった結果です……殿下も太智殿もお怪我はありませんか?」

アシュナムさんが顔だけ上げて俺たちをうかがう。

俺は大立ち回りをして軽く疲れた程度。

でもケイロはその前から戦闘していたし大丈夫なのか? と、俺も距離を取りつつ横に立つケイロを見る。

一見すると問題がないように見えたが、ケイロはカッターシャツの裾をめくり上げて腹部を晒し、赤く腫れ上がった爪痕を見せてきた。

「ヤツらが現れた時に奇襲を受けてな……一撃を食らってしまった。こっちの服を着ていたおかげで威力は軽減できたがな」

白い腹に痛々しい痕を目の当たりにして、俺は顔をしかめてしまう。

「……なあ。もし肌に直接攻撃されたら――」

「肌が裂かれて血しぶきが飛び散るな。下手すれば手が千切れる……首なら即死だな」

「やっぱりかぁぁ……最悪、全校生徒がトラウマ持ちになる惨劇になりそうだったんだな」

俺の顔からサァーッと血の気が引く。ちょっと油断したら倒れるぐらいの引きっぷりだ。

でもケイロは平然と

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